愛媛県と大分県に挟まれた豊後水道、さらに宮崎、鹿児島、高知沖は絶好の漁場。太平洋から流れ込む黒潮とともに、旬の魚が回遊してきます。こうした漁場を舞台に、八幡浜漁港は西日本有数のトロール基地として栄えてきました。底引網漁の一種であるこの漁法は、豊富な種類の魚が獲れることができ、タイをはじめとした高級魚から、エソなどすり身の原材料となる雑魚まで豊富な種類の魚が水揚げされます。さらに、八幡浜市から南の宇和海沿岸は養殖も盛んで、八幡浜漁港には年間200種類以上の魚が水揚げされます。
四国最大規模を誇り、八幡浜の代名詞ともいえる魚市場。毎朝、八幡浜漁港に水揚げされたばかりの魚が、所狭しと並び、競り子たちの威勢の良い掛け声が市場中に響き渡ります。実は、八幡浜では「てやてや」という言葉をよく聞きます。これは、セリ人が仲買人に対して「手を出せ、手を出せ」と催促する、魚市場で使用される言葉が起源。さらに、毎年恒例の八幡浜みなと祭では、多くの市民が仮装して踊る“てやてやウェーブ”が開催されるなど、恵まれた海とともに産業や文化を育んできた八幡浜は、昔ながらの漁師文化、水産文化が色濃く今に残る、そんなまちです。
八幡浜漁港に水揚げされる魚のなかには、通常の流通では取引されない魚も数多くあります。こうした資源を有効に活用しようと地元企業が中心となって取り組んでいるのが「未利用魚プロジェクト」です。実は、オーシャンドリームが力を入れている鱧商品も、このプロジェクトから派生しました。鱧の水揚げが全国2位を誇る八幡浜漁港。一方で毎年、7月に開催される京都の祇園祭り以降は、あまり積極的に取り引きされていませんでした。生命力に溢れ、高級魚として扱われる鱧商品。この鱧の魅力をより多くの人に伝え、地元を中心に消費を拡大しようと、鱧商品の開発に至ったのです。。